医療・介護施設で問題となる病原体は乾燥環境下で数時間から数か月にわたって生存し続けています。たとえば空気中に飛散したり、ドアノブや手すりなどに付着したインフルエンザウイルスは乾燥環境下で長い場合は2日間、食中毒を引き起こすノロウイルスは7日間、感染力を維持しています。
■医療・介護施設で問題となる
主な病原体の乾燥環境下での感染力持続期間1)
病原体 | 持続期間 |
---|---|
インフルエンザウイルス | 1~2日間 |
ノロウイルス (下痢、嘔吐、腹痛などを引き起こします) |
8時間~7日間 |
アシネトバクター属菌 (肺炎や敗血症などを引き起こします) |
3日~5ヵ月間 |
クロストリジウム・ディフィシル(芽胞) (下痢、嘔吐、腹痛などを引き起こします) |
5ヵ月間 |
緑膿菌 (免疫力が低下した人で肺炎や敗血症などを引き起こします) |
6時間~16ヵ月間 (乾燥した床では5週間) |
セラチア菌 (免疫力が低下した人で肺炎や敗血症などを引き起こします) |
3日~2ヵ月間 (乾燥した床では5週間) |
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA 下痢、嘔吐、腹痛、毒素性ショックなどを引き起こします。) |
7日~7ヵ月間 |
バンコマイシン耐性腸球菌 (VRE 尿路感染症、心内膜炎などを引き起こします。) |
5日~4ヵ月間 |
医療施設は疾病のために免疫力が低下した患者さんが多く入院しています。また、介護施設は要介護状態の高齢者が集まって生活しています。ともに日常の生活援助や身体介護で職員との濃密な接触が避けられません。介護施設では入居者どうしの交流もあります。
このため、いったん医療施設・介護施設に菌やウイルスが持ち込まれてしまうと、急速に患者あるいは入居者と職員に感染が拡がってしまいます。
実際、海外からは、介護施設でインフルエンザウイルスや新型コロナウイルスなどの集団感染が起こりやすく、多くの死亡者が出たことが報告されています。
国際介護サービス政策ネットワークという国際組織が2020年6月に発表した「介護施設における新型コロナに関する死亡」によると、諸外国の新型コロナ関連死亡者に占める施設入居者の割合はいずれも高く、平均で47%にものぼっています2)。また、国内においても、2020年1月13日~3月15日に起きたクラスター計1,504件のうち、高齢者施設は485件と3割を占めています3)。
一度発生した感染拡大を食い止めることは極めて困難です。たとえば英国と米国の研究では、介護施設での発症率は40~72%であり、集団感染が発生した介護施設の職員の感染率は1.5~5.9%であることが示されました4)。
国内においても、2020年4月に千葉県の介護老人保健施設で新型コロナウイルス感染症が発生し、利用者18人・職員5人が感染し、利用者5人が死亡しました5)。
介護施設には要介護状態の高齢者が集まって、お互いに近い距離で生活しています。また、日常の生活援助や身体介護、入居者同士の交流も通じて濃密な接触が避けられません。いったん施設内に菌やウイルスが持ち込まれてしまうと、あっという間に入居者や職員に感染が拡がってしまうのです。
医療施設・介護施設においては手洗いとマスクの励行に加えて細かな箇所の清掃業務が必要です。
多くの医療・介護施設が感染に注意を払いながら入念な清掃を行っていますが、なぜいくつかの施設で感染が広がってしまったのでしょうか?
2020年4月の大分医療センターでの新型コロナウイルス集団感染では休憩室に置かれていたタブレット端末が感染源とみられています。こうした携帯端末や蛇口のレバー、ドアノブ、電灯のスイッチ、冷蔵庫の取っ手などの頻繁に人の手が触れる箇所を常に清掃することは施設管理者・業務担当者にとって相当な負荷となります。
施設内のすべての清浄化を人力で行い、その都度チェックすることは効率的ではなく、ヒューマンエラーも起こり得ます。また、感染対策業務にあたるスタッフにも病原体に曝露する危険がつきまといます。
省力化できる所は極力省力化し、本来の目的である入所者へのサービス向上に意識を向けることこそが利用者様の安全と安心につながるのです。
先程に述べた頻繁に人の手が触れる箇所の清掃の解決策として、シーエルファインの空間噴霧があります。シーエルファインの空間噴霧試験の結果は下記グラフのとおりです6)。室内浮遊ウイルス/室内付着ウイルスが減少しました。
「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム」はまったく違うものです。次亜塩素酸ナトリウムも病原体を減少させますが、アルカリ性である次亜塩素酸ナトリウムは皮膚や粘膜に影響を及ぼすことがあります。
シーエルファインは、ニプロ株式会社がウイルス等の減少を目的として開発した、次亜塩素酸水です。2020年10月に医療機関向けに販売を開始し、現在、1,700以上の医療機関で導入されています。
【出典】
1)Kramer A, et al. BMC Infect Dis. 2006; 6: 130.
2)Article in LTCcovid.org, International Long-Term Care
Policy Network, CPEC-LSE, 26 June 2020.
3)高齢者施設、検査二の足「発覚なら業務に影響」不安視. 日本経済新聞2021年4月5日.
4)世界保健機関(WHO). 介護サービスにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防と管理 ポリシー・ブリーフ. 2020年7月24日.
https://extranet.who.int/kobe_centre/sites/default/files/
H24_20200724_JA_LTC_policy-brief.pdf
5)伊藤慎介. 月刊地域医学 2020; 34: 817-822.
6)ニプロ株式会社 社内データ
7)堀田国元, ほか. 機能水研究 2012; 8: 1-8.
8)機能水とは. 機能水研究振興財団
http://www.fwf.or.jp/kinousui.html